
2025年、トランプ政権が復活し、4月には新たな関税政策が発表されました。この影響で、世界の株式市場は一時的に混乱しましたが、米国と各国の交渉が進展したことで、わずか1カ月ほどで株価は元の水準まで回復しています。

これまでもお伝えしてきたように、長期投資家にとって短期的な市場の変動に一喜一憂する必要はありません。株式市場の長い歴史を振り返ると、一時的な政策変更が長期トレンドに大きな影響を与えることは稀であり、投資判断には企業業績やイノベーション、金利動向といった根本的な要素に注目すべきです。



とはいえ、経済や市場の動向を正しく把握することも大切です。以下、足元の状況を簡単に解説します。
関税交渉は想定以上に進展
今回の関税政策では、トランプ政権は事実上すべての国からの輸入品に10%の「ベースライン関税」を課し、さらに貿易赤字が大きい国に対しては追加の「相互関税」を導入しました。ただし、相互関税については現在90日間の停止措置が取られ、各国との交渉が進められています。
中でも中国との交渉は市場の予想を上回るスピードで進展し、「貿易戦争」への懸念は一段落しました。
今後は、7月に向けて「所得税減税の継続と拡大」が焦点となります。関税交渉の進展が財源見通しの明確化につながり、トランプ政権は中間選挙を見据えた景気重視の政策運営を進めるとみられます。
米国債の格下げ、影響は限定的
ムーディーズが米国の格付けを最上位から引き下げ。政府債務の拡大や利払い負担の増加が理由。
— 藤岡優一@金融教育する建設会社アトツギ (@snowball_jorro) May 16, 2025
S&Pは2011年8月、フィッチは2023年8月に格下げ済み。3大格付け会社すべてが米国を“トリプルA”とは見なさない時代に。 https://t.co/oOcLOkjeJ4
5月16日にはムーディーズが米国債の格付けを最上位から引き下げました。一部に驚きの声もありましたが、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)やフィッチ・レーティングスといった他社はすでに最上位格付けを外しており、市場の反応は冷静でした。社債とは異なり、米国債は格付けによって運用制限を受ける機関投資家がほぼいないため、実質的な影響は限定的です。
長期・積立投資の力を再確認
さて、何度かこのブログでも触れてきましたが、やはり大切なことなので繰り返します。
株価は長期的には上昇してきた——これは歴史が示す事実です。
市場には短期的な波があり、時に大きな混乱が起きることもありますが、それに一喜一憂するのではなく、「長い目で見る姿勢」こそが投資成果を左右する最も重要な要素です。JP Morgan Asset Management のレポート「Guide to the Markets」を見てみましょう。

JP Morgan Asset Management のレポート「Guide to the Markets」によると、リーマンショック直前の2007年10月に世界株式へ投資を始めた場合、元の水準に戻るまで6年2ヵ月かかっています。一方で、その「最悪のタイミング」から毎月1万円を積み立てていた場合、2013年12月時点で積立額75万円が約1.7倍の126万円に、さらに今年3月時点では累計210万円が約3.7倍の787万円になっています。
このデータは、相場の下落局面でも長期・積立投資を続けることで大きな成果が得られる可能性を示しています。
長期・積立を“自動的に”実現する制度
このような積立投資を無理なく続ける手段として、企業型確定拠出年金(企業型DC)があります。給与から自動で拠出されるため、投資のタイミングに悩むことなく、長期・積立・分散という投資の王道を実践できます。
企業型DCは将来のための資産形成だけでなく、節税効果や福利厚生の充実にもつながるため、社員にも経営者にもメリットの大きい制度です。
導入を検討している企業の方は、ぜひご相談ください。

本日はここまで。それでは、チャオチャオ!