ここでのポートフォリオとは、金融商品をどれくらいの配分でどう組み合わせるかという組み合わせのことです。ポートフォリオには株式や債券、投資信託などを組み込みますが、当記事では金(ゴールド)を組み入れるべき理由を解説します。
金(ゴールド)とは
金(ゴールド)は紀元前から通貨として流通し、1970年代までは金本位制の中で世界各国の貨幣が金と結びつく形で価値が決まっていました。金本位制が終了した現代でも、各国の中央銀行が準備資産として金を保有しています。国が破綻して貨幣が無価値になったとしても、希少性が高い金は価値がゼロになることがないからです。金の埋蔵量は限られており、人類がこれまで発掘した総量は約18万トンで「オリンピック公式競技用プールの3.8杯分ぐらい」で、10数年後には枯渇すると言われています。希少ですね。
一方で、金投資を避ける投資家がいるのも事実です。資本主義の成長を前提とすると「株式」は長期的に上昇し続けますが、金はそうではありません。需要と供給の関係でのみ価格が推移します。また、金は利息・配当が発生しません。投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏も金嫌いで有名で、金鉱山会社の株式に投資することはあっても金には投資しません。
賛否両論ありますが、ポートフォリオの一部に金を組み入れて分散投資するのは、資産を守るのに有効だと考えています。
ポートフォリオの主役は、株式や債券(もしくはこれらを組み入れる投信)ですが、脇役として金が活躍する場面があります。株式が長期的に上昇するとしても資金が必要な時に株価が大幅下落していたら困りますよね。
守りの資産として「有事の金」
金の価格は一般的に株式や米ドルと逆の動きをすることで知られています。景気不況期や金融危機時、戦争などの地政学リスクが高まった際は、株式などの金融商品が売られて安全資産とされる金が買われる傾向があり、「有事の金」と言われています。
過去の推移をみると、2000年から始まったITバブル崩壊・同時多発テロの局面では、日本株が▲52.7%、米国株が▲30.4%と大幅下落する中、金は19%上昇しました。2007年からの金融危機・リーマンショックでは各国の株価が半値以下になる急落時にも金は16%上昇。コロナショック時でも、金はプラスのリターンとなりました。
世界的な金融緩和の局面では、マネーが溢れて、株式と金がともに買われて相関が高まる(似たような動きをする)時期はありましたが、基本的に金価格の値動きは独自の特性があるため、リスク分散するうえでは魅力的な投資先であると言えます。
金の配分
各機関や著名な投資家の推奨する金の配分を見てみましょう。
「ヘッジファンドの帝王」と言われる米国のレイ・ダリオ氏が個人向けに提唱したポートフォリオでは金の配分を7.5%としています。イギリスのロンドンに本部を置く金の専門機関「ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)」の分析では、日本の年金基金のポートフォリオに金を4~13%追加することでパフォーマンスが向上すると提言しています。また、米国のハリー・ブラウン氏が、永久保有を前提として提唱した「パーマネント・ポートフォリオ」では、金の配分を全資産のうち25%としています。
米国のファースト・イーグル・インベストメンツ社が運用する「ファースト・イーグル・グローバル・ファンド」はマーケット状況に応じて金の配分を5~25%に変動させるアクティブファンドであり、日本の投資信託でも日興レジェンドイ―グルファンドから同戦略に投資することができます。アクティブファンドに興味ある方はご参考までに。
※インデックスファンドとアクティブファンドの違いについてはこちらの記事をご覧ください。
世界情勢の不測事態を予測することは困難です。こんな時代だからこそ、短期の利益よりも長期間で資産を守りたい人には、ポートフォリオの一部に金を組み入れることは有効な戦略だと言えます。
金への投資は現物資産として購入することが可能ですが、盗難や紛失の恐れもありますし、所有欲を満たすのが目的でないのであれば、手数料等を考慮して投資信託やETF(上場投資信託)を通じて投資した方が良いと思います。
本日はここまで。それでは、チャオチャオ!