トランプ・トレードって何なん?

狙撃犯による暗殺未遂直後、銃弾が顔面をかすりながらも拳を高く上げて聴衆にアピールした凄まじさから、トランプ氏が大統領選挙再選するとの見方が強まってきました。

金融市場は常に先を見込みながら日々動いていますが、トランプ氏が返り咲き、新政権が実現した場合に恩恵を受けるであろう金融資産が買われる一方、逆風になるであろう金融資産が売られる取引が活発化しています。

この現象は「トランプ・トレード」と呼ばれています。

長期投資するには、日々の値動きといった短期的な動向は、すべて無視すべきです。

ただ、どんな状況なのか知りたい人のために、ざっくり無理くり解説したいと思います。

米ドル高・円安が進行

いまのところ米ドル高・円安に動いていますね。

トランプ氏は中国からの輸入品に対して関税を60%引き上げ、他の国からも10%引き上げると主張しています。これが実現すると米国でインフレが加速し、FRBが利上げするとの見方から、米ドルが買われています。

  • インフレ・・・インフレ―ションの略。モノやサービスの価格が上がること。
  • FRB・・・米連邦準備制度理事会の略称で、米国の中央銀行です。FRBは物価の安定を目指しているので、物価が上昇しすぎると、今まで買えていたものが同じ金額で買えなくなって困る人が増えるので、アメリカ国内の金利を引き上げます。その結果、企業や個人の借り入れが減り、モノやサービスが売れなくなって、物価が抑えられます。
  • 米ドルが買われる・・・米ドルの金利が高くなると、金利が低い日本円を持っているよりも高い利息収入を得ることができるので、短期的には日本円を売って米ドルを買う投資家たちが増えます。

一方で、トランプ氏は「米ドル高・円安」の今の状態を激しく批判しており、米ドル安にしたがっていますね。米ドル高・円安だと、日本製の商品が割安になってたくさん売れて、日本がアメリカへの輸出で大きく稼げるからです。米ドル安・円高にしてアメリカからの輸出を増やしたいのでしょう。

また、トランプ氏の大型減税による財政悪化で、米ドルの信認が低下するとの見方もあり、今後は米ドル安・円高に進むだろうとの意見もあります。

株式はエネルギー、防衛、金融などが上昇

地球温暖化対策の枠組みである「パリ協定」からの離脱をトランプ氏は望んでおり、アメリカ国内の石油、天然ガス、石炭などの生産拡大を目指しています。そのため、エネルギー関連の株式が投資家から買われています。

ほかにも防衛関連や金融関連などが物色されています。興味ある人はいろいろ調べてみてください。

追加関税や保護主義的な政策で貿易が縮小して経済が悪化し、今後は株安が進むとの意見もあります。

債券利回りは長短金利差が拡大

債券の話になると少し専門的なので、飛ばしてもらってもOKです。

目先はインフレ抑制のためにFRBは利下げする方向なので、短期債の利回りは低下(価格は上昇)。

一方で、長い先のことを考えると、トランプ氏の大型減税による財政赤字の拡大やインフレ加速により、長期債の利回りは上昇(価格は低下)するとの見方があります。

長短金利差が拡大(プロの世界ではイールドカーブがスティープ化すると表現します)するので、こういう時、プロは短期債買いと長期債売りを組み合わせたりしています。

金(ゴールド)や暗号資産(仮想通貨)にはプラス

僕が個人的に配分を増やしている金(ゴールド)や暗号資産(仮想通貨)にはプラスとの見方がありますね。

地政学リスクが意識されたり、米ドルの信認が低下すると、安全資産とされる金に買いが入りやすくなります。また、トランプ氏は「イノベーションを推進する手段」として、暗号資産の肯定派で知られているので、暗号資産にとっては追い風となる可能性があります。

事業の収益で企業価値が向上して株価は上昇するけど、金(ゴールド)は利益を生むわけではないので金投資に対して否定的な意見もあります。また、暗号資産は中央銀行による信用の裏付けがないので投資対象にすべきじゃないという人も多いです。自分自身が信用できないものは投資しないようにしましょう。

将来のことは分からない

2016年のアメリカ大統領選挙の時は、それまでトランプ氏が当選すると株式市場は暴落すると一般的に言われていましたが、1日だけ下落した後に急上昇を続けて「トランプラリー」と呼ばれるようになり、大規模減税策への期待感から、その年は結局上昇しました。

2017年は新興国株式市場が大幅上昇する中、アメリカ株も税制改革で上昇。2018年は米中貿易摩擦で下落しましたが、翌年2019年はFRBの利下げによりアメリカ株は過去最高値を更新。

まぁ、いろんなことありましたね。

これからも、結局、将来はどうなるか分かりません。短期的には一喜一憂せずに、長期的に資本主義経済の成長を見守りましょう。

企業型DCで強制的に長期保有

多くの投資家は途中で売却してしまうことが多いため、60歳まで強制的に貯められる確定拠出年金を活用するのも一つの手です。

「5分でわかる!選択制確定拠出年金」動画はコチラをクリック↓

本日はここまで、それではチャオチャオ!

    PAGE TOP