つみたてNISA対象外の「テーマ型ファンド」とは

銀行や証券会社の営業マンが積極的にお勧めする投資信託として「テーマ型ファンド」を一度は目にしたことがあると思います。一方で、金融庁は「つみたてNISA」で購入できる商品から「テーマ型ファンド」を除外しています。今回はそんな「テーマ型ファンド」について解説したいと思います。

ジョーロ
ジョーロ

こんにちは。ジョーロと申します。現在は地方で家業を手伝っていますが、サラリーマン時代は、大手証券会社でのフィナンシャルアドバイザーや、大手投信評価会社でのファンドアナリスト、国内外の資産運用会社でのファンドマネージャーやレポーティング等に従事していた「投信の元プロ」です。金融機関の立場ではなく、投資家の立場に立った有益な情報をお伝えできたらと思います。

テーマ型ファンドとは

「テーマ型ファンド」に明確な定義はありませんが、特定のテーマに基づいて銘柄選定などの投資判断を行うファンドを一般的に指します。

特定のテーマに関する銘柄群のみに集中投資するので、追い風の時に大きなリターン生む可能性がありますが、市場環境によっては大幅に下落する可能性もあります。

販売会社が売りやすい

「インデックスファンドVSアクティブファンド」では長期的に見るとインデックス優位のケースが多いのは以前お伝えしました。

しかし、銀行や証券会社の店頭でおススメとして販売されているファンドは、一般的なインデックスファンドやアクティブファンドではなく、日経平均株価やNYダウなどの一般的な指数をそもそも意識していない「テーマ型ファンド」がほとんどです。

これらのファンドは「AI」や「5G」などニュースでよく目にする、その時々の旬のテーマに沿った商品となっており、投資信託のことがよく分からない人でもイメージしやすくなっています。

販売会社も「これから経済はこうなって、こういう業界が成長する。だからこういう銘柄を厳選しているこのファンドを」というセールスがしやすいのです。

テーマ型ファンドは投資家にとって分かりやすく、販売会社も売りやすい商品です。

このため、テーマ型ファンドを開発する際、資産運用会社(アセットマネジメント会社)というより、販売会社(証券会社や銀行)が主導でテーマを決めて商品を開発する傾向にあります。

運用会社はファンドマネージャーの属人化を防げる

資産運用会社からすると、インデックスファンドだけ運用してても他社と差別化できないので、アクティブファンドを組成する傾向になります。

しかし、アクティブファンドを作っても、ファンドマネージャーが必ず指数に勝てるわけでもないし、優秀だとしてもサラリーマンなので途中で転職・退職することがあります。

これらの問題を解消する1つの手段がテーマ型ファンドになります。

テーマ型ファンドは、それぞれが独自のテーマに沿ったファンドを組成して他社との差別化ができます。また、特定のテーマやトレンドに沿って保有銘柄を絞ることで、商品設計の段階から、銘柄選定がファンドマネージャーの腕頼みになることをある程度制限でき、属人化を防ぐことができます。

投資家にとってもこれはメリットだと言えます。

なかにはテーマ型のインデックスファンドも存在する

テーマ型ファンドは、ファンドマネージャーがテーマに沿って銘柄選択を行うアクティブファンドが一般的でした。このような中、2018年ごろから、ファンドマネージャーの代わりにテーマに沿うカスタムの指数を資産運用会社などが事前に作成し、それを参照して運用するテーマ型のインデックスファンドも存在します。

通常のアクティブ運用されるテーマ型ファンドと比べて、信託報酬(手数料)や売買コストが安いのが魅力的です。

しかし、幅広い投資対象に分散するのではなく、テーマに絞り込んで集中投資するので、当たり外れが大きくなってしまいます。いわゆる通常のインデックスファンドとは特徴が大きく異なり、アクティブファンドに近いと言えるので注意が必要です。これらのファンドは「名ばかりインデックスファンド」と揶揄されることも。

テーマ型で流行を後追いしないように

これまで設定されてきたテーマ型ファンドは、1990年代のIT関連、2000年代はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)関連、ゲノム・バイオ関連、2010年代はシェールガス関連等がありました。2020年代の近年では、ロボティクス関連企業に絞ったグローバル・ロボティクス株式ファンドやAI関連をテーマにしたグローバルAIファンド 、コロナウィルス関連としてSBI ポストコロナ ファンド等といった様々なファンドが存在します。

注意して頂きたいのは、流行りのテーマだからという理由では投資しないことです。

販売会社や資産運用会社がテーマを決めてからファンドの商品設計を行い、そこから実際にファンドが運用されるまでに最低でも2~3カ月の期間、長くて1年以上の期間を要することがあります。テーマ型ファンドを購入した時は、関連銘柄がすでに高騰していて、その後流行が終わると同時に下落する可能性もあります。

また、世の中の関心が次のテーマに移るのに伴い、過去のテーマ型ファンドは人気を失うことで、投資家が解約(資金が流出)し、繰上償還に追い込まれることもあります。

テーマ型ファンドに投資する場合は、あくまでも長期的な目線で流行り廃りのないテーマにしましょう。

長期保有のNISAでは除外されている

金融庁は「平成28事務年度金融レポート」において「過去の株式投資信託の販売動向を見ても、ブームに流され、株価のピークにおいて株式投資信託が最も売れる傾向が見られているが、個人投資家が安定的な資産形成を行うためには、こうした売買のタイミングを気にする必要のない、資金投入の時期を分散する積立投資を行うことが有益な方法と考えられる」とコメントしています。

金融庁は、長期的な資産形成においてテーマ型ファンドが不向きだと判断しており、つみたてNISAで購入できる投資信託から除外しています。

保有する投資信託の中で、大半を占めるコア資産としてはインデックスファンド補足的にサテライト資産としてテーマ型ファンドを保有するのはアリだと思いますが、コア資産としてテーマ型ファンドを長期保有するのは止めておいた方が良いでしょう。

本日はここまで。それでは、チャオチャオ!

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