投資信託(略して投信、=ファンド)が無理に分配金を出して、タコが自分の足を食べるように元本を取り崩している状態を「タコ足分配」や「タコ足ファンド」と揶揄されます。
この記事では、毎月分配型ファンドなどが「タコ足分配」をしているかどうかを見分ける方法をご案内します。
手順①分配金利回りを調べる
分配金利回りは、証券会社のホームページに記載されている場合がありますが、資産運用会社が公表している月報(マンスリーレポート)からでも簡単に計算することができます。
1万口当たりの分配金(過去1年間の累計額)÷基準価額
ここでは設定から17年以上経過し、一時、純資産が3兆円近くまで拡大し、2022年11月末時点も1兆円を超える「グロイン」こと、ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配) を例に挙げてみましょう。
まず、ファンドを運用している資産運用会社や、販売会社(証券会社や銀行)のホームページから月報を閲覧し、「基準価額」と過去1年分の「分配金」を調べます。
「グロイン」の分配金利回りは、310円÷2,748円=11.28%
手順②組入銘柄の利回りを調べる
ファンドが組み入れている銘柄の利回りが月報には記載されています。資産運用会社によって表記されている名称が若干異なりますが、株式ファンドは「配当利回り」、債券ファンドは「最終利回り」、REITファンドは「分配金利回り」などと記載されています。
月報を見ると、この「グロイン」の組入銘柄の利回りは3.4%です。
手順③「分配金利回り」と「組入銘柄の利回り」を比べる
「グロイン」は組入銘柄の利回りが3.4%しかないのに、分配金利回りが11.28%です。
「分配金利回り>組入銘柄の利回り」なら「タコ足分配」です。
11.28%ー3.4%=7.88%がいわゆる「タコ足」になっており、元本を取り崩す要因となります。ファンド内に組入れている銘柄がその分値上がりしたら問題ないですが、横ばいだとファンドの基準価額が7.88%下落することになります。
※外国資産を組み入れている場合、為替の動きも基準価額の変動要因になります。
利益が出たかは「受け取った分配金の累計+基準価額」で判断
営業マンに毎月分配型の「タコ足ファンド」を買わされて、大損やわ。
10,000円で買ったんが2,400円ぐらいまで下がってもうた。
月報を見ると、このファンドのトータルリターンは結構良さそうです。
基準価額は下落してますが、今まで受け取った分配金と合算すると、利益出てそうですよ!
え?そうなん?
でも、毎月銀行に振り込まれる分配金は、ゴルフや孫のために全部使ってもうたわ
あっちゃ~
もう投資信託なんて嫌いや!
分配金で取り崩した基準価額が下落していく様子だけ見て、悲観しすぎることもありません。一方で、毎月振り込まれる分配金だけを見て安心するのも要注意です。
受け取った分配金の累計額と基準価額を総合的に判断して、トータルリターンで運用結果がどうだったかを判断しましょう。
本日はここまで。それでは、チャオチャオ!