人は、利益の喜びを「1」としたとき、損失の悔しさは「2」に感じます。また、損失の不快感を先送りにしようとする性質だったり、自分の損失や失敗を認めたくない心理も。これらの感情により、人は非合理的な投資判断をしてしまいます。
人は非合理的な生き物
こんなこと当てはまりませんか?
✔ 車の運転は平気なのに、それよりはるかに確率の低い飛行機の事故を心配する
✔ 宝くじの1等は当たる確率が極めて低いが、当たりそうだと思って購入する
✔ ギャンブルで買ったお金は働いて得たお金より簡単に使ってしまう
これらの非合理的な人間の行動は「行動経済学」という学問で分析されており、行動経済学の一分野として、金融市場の活動に焦点をあてた「行動ファイナンス」があります。
行動ファイナンスの心理実験として、次の質問を見てみましょう。
問1:もしどちらか選べるなら、どちらを選びますか?
①あなたに確実に100万円をあげます。
②コインを投げて表なら200万円あげます。でも、裏なら1円もあげません。
問2:もしあなたが200万円の借金を抱えているとしたら、どちらを選びますか?
①あなたの借金を、無条件で100万円減らします。残りの借金は100万円です。
②コインを投げて、表ならすべて借金をチャラにします。でも裏なら200万円のままです。
あなたはどちらを選びましたか?
一般的に問1では、確実にお金がプラスになる①を選ぶ人が多いです。しかし問2では、確実にお金がプラスになる①よりも、借金をゼロにする可能性がある②を選択する人が多いと実証されています。
元手がゼロの場合は確実に利益になる選択を選び、借金という損失がある場合は、借金をゼロにする賭けに出てしまう傾向が見られるのです。人は余裕がある時は合理的に振る舞えますが、負けが大きくなると合理的に判断しにくくなります。
投資の落とし穴
非合理的な投資行動の事例を少しご紹介します。
✔ 損するのが嫌で、ナンピン買い
✔ 対立意見をブロックし、下落トレンドに気づけない
✔ 買値に戻るまでと、株を塩漬けにしている
✔ メディアでよく見かけるテーマというだけで投資
✔ 有名人の推奨銘柄というだけで投資
✔ 利益を出した人が目につき、乗り遅れまいと慌てて投資
✔ 為替の動向が現状と同じ一方向に進むように見える
✔ 過去データの延長線上での未来を予想
よくありがちなケースじゃないでしょうか。
心の罠にはまらないために長期・分散・積立
これらの感情を排除するため、長期・分散・積立で投信への「ほったらかし投資」をおススメします。
○○ショックや○○危機などと呼ばれる相場の急落時には恐怖心から売却したい衝動に駆られますが、慌てて売らないことが大事。感情を排除して取引するメリットを自ら放棄することになります。これまで、バブル崩壊、アジア通貨危機、ITバブル崩壊、リーマンショック、欧州債務危機、コロナショック…たくさんの金融危機が繰り返されてきましたが、相場は時間をかけて回復しています。
本日はここまで、それではチャオチャオ!