運用結果の8割以上は資産配分(アセットアロケーション)で決まる
資産運用で良い結果を残すには「値上がりしそうな銘柄を発掘する力」が大事だと思ってる人は多いのではないでしょうか。
実はこれ、大きな誤解です。
投資成果は銘柄選びや売買タイミングで決まるわけではなく、8割~9割は資産配分(アセットアロケーション)で決まります。簡単にいうと、株式や債券といった大まかなくくりでの資産を、その時々の状況に応じて、どれぐらいの割合でそれぞれ配分するかによって、全体としての投資結果がほぼ決まってしまうということです。
デイトレードなどの短期売買は別ですが、ある程度運用期間を設ける資産運用のプロの間では、アロケーションでリターンがほぼ決まるのは常識となっています。
証券会社やマネー雑誌、SNSなどで「次の爆上がり銘柄はこれ!」とか「テンバガー(株価10倍)候補銘柄!」といった情報ばかり散見されて、プロの常識となっているアセットアロケーションの情報はあまり見かけることはありません。
株価10倍!!とかよりも、アセットアロケーションはなんか地味で興味を集めれないでしょうし、個人投資家が重要性に気付いてしまうと、金融機関が販売したい商品やマネー雑誌などが売れなくなってしまいますしね…
アロケーションの組み合わせは無限大
金融市場で投資できる資産は株式、債券、不動産(REIT)やコモディティ(貴金属、エネルギー、穀物など)等があり、また、日本や海外などの地域も選ぶことになります。明確な定義はありませんので、「株式・債券」といった大まかな分類で考えることもあれば、「日本株式・外国株式・日本債券・外国債券」といった地域を組み合わせて分類することもできます。外国株式でも「先進国株式・新興国株式」と区別してもよいですし、難しく考えずに、大まかに分けていればOKと言えます。また、その組み合わせのパターンは無限大です。
許容できる損失額から自分に合った資産配分を決める
「最強のアロケーションはなんですか?」と質問されることもありますが、そんなものは存在しません。リターンを最大化するのならそもそも分散せずに爆騰銘柄に全資産突っ込めば良いだけですが、現実的にそれが不可能なので、ある程度のリターンを狙いながら、自分の中での「許容できる損失」を決めて資産配分していくことになります。
誰でも損はしたくないので「許容できる損失額」なんてないと言いたくなる気持ちも分かりますが、損失の可能性を受け入れるからこそ、その見返りとしてリターンを期待できるというのが、根本的な投資の仕組みです。
各資産クラスの入力欄に、日本株式〇%、先進国株式〇%、新興国株式〇%と数字を入れていくと、その資産配分でのリターンやリスクが自動計算される便利なツールが無料でネット上に公開されていますので、いくつかご紹介します。過去のデータを基に「統計学」の手法を用いて、リターンやリスクが数値化されます。
長期投資予想/アセットアロケーション分析 ~ 投資信託のガイド|ファンドの海 (fund-no-umi.com)
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ちなみにここでの「リターン」とは、業界用語でいうところの「期待リターン」です。その資産に1年間投資した場合に、1年後に実現する可能性が最も高いと考えられるリターンのことです。
「リスク」とは価格の振れ幅を指す「標準偏差」で算出されます。リスク10%という投資対象は、1年後に68.27%の確率(1標準偏差)で平均リターンから±10%の範囲に収まり、95.45%の確率(2標準偏差)で平均リターンから±20%の範囲に収まり、99.73%の確率(3標準偏差)で平均リターンから±30%の範囲に収まることを示しています。68.27%や95.45%、99.73%といった発生確率はリスクの大小にかかわらず、数学的に確定しています。
例えば、期待リターン5%、リスク15%という計算結果がでた場合、リターンが約7割の確率で▲10%から+20%の範囲に収まり、約95%の確率で▲25%から+35%の範囲に収まることになります。1000万円投資したとすると、めったに起こらない暴落が起きた時は、1年間で250万円なくなると想定できます。
ワシは250万円もなくなんは嫌や、耐えられん。
保有資産のリスクが自分のリスク許容度を超えていることになるので、高リスク資産の配分を減らすか、投資金額自体を減らすことが必要になります。
もし250万円減ったとしても、あんまり痛くないで!
そんな金額、仕事ですぐ稼げるがな。
保有資産のリスクが自分のリスク許容度に収まっていると考えられますね。
人によって求めるリターンや許容できる損失額が異なり、考え方が違います。その分だけ、アセットアロケーションのパターンは無限大になりますが、次回は具体的なアロケーション例を見ていきましょう。
本日はここまで、それではチャオチャオ!