株価下落で新NISA「損切り民」続出!?
2024年1月に新NISAがスタートしたことで、株式や投資信託への投資を始めた人が増えました。そんな中、年初から急上昇した日経平均株価が史上最高値を更新して4万円を突破。その後、日銀が政策金利の正常化方向に舵を切る中、中東情勢を巡る地政学リスクへの懸念や米国の利下げ観測の後ずれ等といった外部要因から、日経平均株価は3万7千円台まで下落しました。
Yahoo!ニュースによると、投資初心者たちがパニックになり、新NISAで購入していた株や投信信託を損切りしている人が続出したようです。
株価大幅下落で新NISA「損切り民」が続出?(テレビ朝日系(ANN)) – Yahoo!ニュース
「損切り」とは、保有している資産が下落した時、これ以上の損失拡大を防ぐため、売却して損失を確定することです。戦略的にあらかじめルールを決めて損切りする人もいますが、このケースはどちらかというと、慌てて売却してしまう「狼狽売り」です。
SNSでは「NISAは何かの陰謀か?」「投資は儲かると聞いたのに騙された」といった投稿があったみたいです。悲しいですね…
一部の初心者が日本株を狼狽売りをした一方で、米ドル高・円安が34年ぶりの1米ドル=157円まで進行したことから、世界株や米国株などに投資していた人は「今こそ買い増しするチャンスだ!」と心動かされている人もいるかもしれません。
ダイエットするには「消費カロリー>摂取カロリー」にしたらよいと分かってても実践できない人が沢山います。長期投資も短期的な損益で一喜一憂してはいけないと分かってても、マーケットの動きに振り回される人は沢山います。
長期投資のマインド
インデックスファンドなどに分散して長期投資を実行する投資家にとっては、日々のマーケット動向に一喜一憂しないことが重要です。メディアの報道やSNSの投稿を見て、焦って自身のポートフォリオの配分を変更する必要はありません。
自分が目標とするリターンとリスク許容度を把握し、それに沿ったアセットアロケーション(資産配分)で投資を継続しましょう。長期投資では「マーケットに居続けること」が大切です。
ネットで簡単に長期間のチャートを見ることができるので、心を落ち着かせるために眺めてみるのもよいかもしれません。1871年から2024年4月までの約150年間の米国株式のチャートを見ると、1871年に4ポイントだった株価は現在5000ポイントを突破しています。
ジェレミー・シーゲル氏の世界的ベストセラー「Stocks for the long run」でも1801年に米国株式に投資した1ドルは200年後に70万倍になったと示しています。この200年の間には2度の世界大戦や世界恐慌なども起きていますが、それらを乗り越えて経済は発展し続け、株価は上昇しています。
米国だけの成功事例だと疑う人もいるかもしれないので、各国に分散した世界株式の超長期チャートも見てみましょう。日本にいると少子高齢化や人口減少が当たり前に感じますが、全世界でみると人口は増加しており、資本主義経済は拡大し、世界株式も上昇しています。
資本主義経済の成長の果実を得るには、相応の時間が必要になります。企業や経済はゆっくりと成長していくからです。
短期的にはプロの投資家たちの思惑が金融市場で複雑に交錯して、株価はランダムに動き回ります。しかし、長期的には平均値に収束していく「平均回帰性」の力が働き、投資のリターンとして資本主義経済の成長の恩恵を受けることが可能です。
日々のメディアの報道やSNSの投稿を見て焦る必要はありません。
投資は人生を豊かにするための手段の一つにすぎません。投資に振り回される人生は本末転倒。金融市場のことを考える暇があれば、目の前の仕事に精一杯向かうか、趣味や家族との時間を大切にしましょう。
程よい距離感を保ちながら長期的な視点で着実に資産形成していきたいものです。
本日はここまで、それではチャオチャオ!