こんな悩みを解決できる記事を書きました。
投資初心者はまずはオルカン(=オールカントリー)から始めてみても良いかもしれません。
オルカンの魅力
”オルカン”とは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称です。「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」では、2019年から2023年まで5年連続の第1位。新NISAがスタートし、個人投資家から圧倒的な人気を集めています。
「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」は、投資経験が豊富な投信ブロガー達の投票で決まるため、金融機関への忖度がなく、投資初心者にとって参考になるでしょう。
”オルカン”はアメリカやヨーロッパ、アジア、アフリカなどといった約50か国の株式を組み入れています。オルカンを1本買っておけば、全世界の株式まるごと投資することになります。
資本主義の中で、これまで世界経済は拡大し続けており、オルカンを通じて全世界の株式に長期間投資することで、世界経済の成長を捉えることができます。
「現代ポートフォリオ理論」という、70年以上も前に生まれた王道の投資理論では、全世界の株式時価総額と同じ比率に投資するのが最も効率的であると数学的に証明されています。
オルカンの運用自体は、ファンドマネージャーが儲かりそうな銘柄を選定しているわけではなく、機械的にMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)という指数に連動するインデックス運用を採用しています。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは全世界にある株式の時価総額比率で構成されており、この指数に連動するオルカンは結果的に世界中の超優良企業が組入れられることになります。
オルカンの組入上位銘柄をみると、マイクロソフト、アップル、エヌビディア、アマゾン、アルファベット(元グーグル)、メタ・プラットフォームズ(元ファイスブック)、台湾セミコンダクターなどといった企業がズラリと並びます。
三菱UFJアセットマネジメントがオルカンの運用コストを将来にわたって業界最低水準で維持し続けると表明しており、保有中にかかる「信託報酬等」は、わずか年0.05775%以内。もちろん、買う時の「購入時手数料」や売る時の「信託財産留保額」といった手数料はいずれもゼロ。
外貨建ての貯蓄型保険の購入手数料が約6~10%で、さらに保有期間中に何%も手数料が発生していることを考えると、オルカンの手数料はかなり割安と言えます。
新NISA、オルカン運用部隊の1日 コスト圧縮へあの手この手 追跡オルカン(上) – 日本経済新聞 (nikkei.com)
オルカンの留意点
オルカンなどの投資信託は複数の銘柄に分散投資しているので、ある会社の株式を1銘柄持っている時と比べると、価格の上昇や下落が緩やかになります。したがって、短期的に大きな利益を上げることはできません。大きな利益を得るためには、何十年といった長い年月が必要です。
また、分散しているとはいえ、オルカンはあくまでも株式だけ。債券や不動産(REIT)、商品(コモディティ)などといった他の資産クラスには分散されていません。100年に1度と言われるリーマンショックが2008年に起きた際は、世界株式市場は(MSCI ACWI)は半値近くまで暴落し、回復まで約4年から5年程度を要しました。
インフレになると現金の実質的な価値は目減りします。しかし、「現金そのものを絶対に減らしたくない」「元本確保じゃないと嫌」という人は投資しないようにして下さい。「損する可能性を受け入れるからその見返りを得ることができる」のが投資の原則。「絶対に儲かる」という話は詐欺なので注意しましょう。
オルカンに投資する方法
①ネット証券で口座開設
まずは、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))を販売している証券会社や銀行で証券口座を作りましょう。投資信託は証券会社や銀行によっては、販売していないこともありますが、大手ネット証券では、たいていの投資信託を取り扱っています。
証券口座は、利益に対して課税される「特定口座」と非課税の「NISA口座」があります。NISA口座は一人につき1つまでで、投資金額に上限があります。
②オルカンを検索
口座開設が完了したら、ネット証券のサイト内で、投資信託を検索しましょう。「オール・カントリー」「全世界株式」「eMAXIS Slim」などのキーワードで検索をしてみましょう。「オルカン」は正式名称ではないため、出てこないことがあります。
紛らわしいですがeMAXIS Slim(イーマクシス スリム)と似たeMAXIS(イーマクシス)もあるので注意が必要です。「eMAXIS 全世界株式インデックス」を間違って購入しないようにしましょう。
イーマクシススリムはネット証券などでしか購入できないので、その分、コストにこだわっており、手数料が割安です。
③オルカンの買付方法を決める
日常生活で使うお金や緊急時の費用、近い将来に使う予定があるお金は預貯金で持つのが基本です。それ以外の余裕資金のみを投資にまわしましょう。
一括での買い注文でもいいですが、積立で定期的に買い増していくことも可能です。銀行から証券口座に送金したり、銀行口座やクレジットカードからの引き落としを選択できます。買付する金額は、金額指定で何円分を買うのか、口数指定で何口分買うのかも選べます。分配金コースでは、分配金を都度受け取るのか、分配金を再投資するのかを選択できます。分配金再投資のほうが、元本に利息が加わった状態でさらに利息を得ることで運用効率が高くなる複利効果が期待できます。
投資信託の注文は、株式のようにリアルタイムでの株価ではなく、基本的に翌営業日の基準価額で購入することになります。そのため、注文の時点では基準価額がいくらなのかはわかりません。デイトレードなどの短期間の投資ではなく、長期間で運用するのに適しています。
④投資信託説明書(交付目論見書)を確認
投資信託を販売する証券会社や銀行には説明義務が法律で課されているためこの手順が必要です。ネット証券で買う場合はリンクを押して画面を開くだけで買えますが、特徴やリスク、費用などといった大事な内容が記載されているのできちんと確認しましょう。
投資信託を買うのは難しそうに感じますが、ネット証券だとスマホから簡単に買えます。今は100円から積立ができたり、クレカ積立でクレジットカードのポイントが貯まったりします。難しく考えず、まずは少額で練習してみても良いかもしれません。
⑤購入して長期間保有(バイ・アンド・ホールド)
あとは買い注文して、長期間保有するだけです。長期間というのは、人によって違いますが、10年や20年、30年以上、ほったらかしでOK。ただし、この「ほったらかし」が意外に一番難しいと言えます。
株式市場は短期的に急上昇する時もあれば、ブラックマンデー、アジア通貨危機、ITバブル、同時多発テロ、リーマンショックなど、暴落するタイミングもあります。しかし、それらを乗り越えて経済成長とともに株式市場は大きく上昇し続けてきました。
ですが、多くの投資家が感情に流されたり、あるいはタイミングを計ろうとして失敗し、ただ市場にいるだけの場合よりもリターンを悪化させる結果になっています。
アメリカのダルバー社の調査によると、株式と債券の市場平均と、株式ファンドや債券ファンドといった投信を保有していた投資家たちの平均リターンを比べた結果、投資家のパフォーマンスはそれぞれの市場平均より劣っていました。
DALBAR-2023-QAIB.pdf (atlasfinancialinc.com)
人間は感情で動く生き物で、非合理的です。オルカンの長期保有(バイ・アンド・ホールド)は一部の人から「脳死」や「アホールド」と揶揄されることがありますが、投資の天才ではない一般人の我々は、それらの声は無視しましょう。
オルカン以外の全世界株式インデックスファンド
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))のほかにも、全世界株式を組み入れて、低コストなインデックス運用を行っている投資信託はありますので、いくつか挙げておきましょう。
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))|目論見書・定期レポート等│SBIアセットマネジメント (sbiam.co.jp)
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 投資信託・ETFのご案内 | 投資信託・ETFなら楽天投信投資顧問 (rakuten-toushin.co.jp)
全世界株式といっても対象とする指数(ベンチマーク)の違いでそれぞれの国や企業の配分が異なりますが、いずれも似たような値動きになります。
本日はここまで。それでは、チャオチャオ!