「解放の日」で急落 ― ざっくり概況

長期投資では相場の上下に一喜一憂する必要はありませんが、経済情勢や金融市場の動向を把握することは重要です。ここ数日で株価が急落し、不安な気持ちになっている方も多いと思います。今回は、その背景について、ざっくり解説していきます。

トランプ大統領の関税発表で株価急落

トランプ大統領は、4月2日を「解放の日」と呼び、中国、ベトナム、日本などに対する相互関税率を発表しました。その内容が市場予想よりも厳しく、アメリカ国民にとっても負担が重くなりそうだとの懸念が広がりました。

これを受けて外国為替市場では「景気悪化→FRBの早期利下げ」のシナリオが意識され、米ドル安・円高が進行。S&P500や日経平均も、2024年の上昇分をいったん吐き出す形となりました。

日経新聞

中間選挙を見据えた「調整」

来年には中間選挙が控えています。もしトランプ大統領が勝利を狙うなら、物価上昇や買いだめを引き起こす“不人気”な関税政策は、そう長くは続けられないと考えられます。

各国との交渉によって成果があれば、関税は段階的に引き下げられる可能性もあります。

今後は、個人所得税の減税継続や、法人税減税の追加といった“人気取り”政策が議会との間で議論されていくでしょう。悪材料を先に出しておいて、プラス材料で盛り返す ― 政治的にはよくある戦略です。

とはいえ、米国株一点集中ではなく分散しておきましょう

足元の急落は、2024年まで米国株の上昇をけん引してきた「マグニフィセント・セブン」(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、テスラ、メタ)の下落が主因でもあります。

今では、「マレフィセント・セブン」(眠れる森の美女の悪役マレフィセントからの皮肉)や、「ラグニフィセント・セブン(=出遅れた7銘柄)」と揶揄される場面も。

米国株一強の構図は崩れつつあり、世界の株式市場もその影響を受けています。特定の銘柄や地域に偏らず、地域・資産クラス(債券や金など)を広く分散することが、これまで以上に重要になっています。

相場の反応は予測不能

今回の関税発表は、すでに織り込み済みとも見られていた材料でした。「材料出尽くし」で株価が上昇する展開もあり得た中で、市場はネガティブに反応。

このように、相場は常に予測が難しいものです。

売ったり買ったりを繰り返すと、「稲妻が輝く瞬間」(=急上昇の局面)を逃す恐れがあります。個人的には「そろそろ調整が来そう」と思っていましたが、これまで通り、世界株式や金などに分散し、ドルコスト平均法で積立投資を続けています。急落時には、優待や高配当利回りを狙って個別銘柄を買い増しました。

長期投資だからこそ「慌てない」

短期トレードであれば、急落前に売れていれば理想的ですが、長期投資では「急落しても慌てて売らない」ことが最も大切です。

世界株式全体で見れば、リーマン・ショック級の暴落ですら、4年半で回復しました。20年以上の積立投資では、元本割れのリスクはきわめて低く、日本で交通事故に遭うよりも確率は小さいと言われています。

株式投資 第6番 長期投資で成功するための完全ガイド ジェレミー・シーゲル
日経新聞

長期投資をするなら、はやめにエントリーを

相場が下がると不安になりますが、長期投資において大切なのは「いつ始めるか」よりも「いかに続けるか」と言われています。
そして、始めるタイミングとして現実的なのは、多くの人にとって最も時間のある“今”かもしれません。

たとえば、企業型DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)のように、毎月の積立を自動化できる制度を利用することで、相場の変動に左右されず、着実に投資を続ける仕組みを整えることができます。

こうした制度の仕組みを理解し、ライフプランや資産形成の目的に応じて、無理のない範囲で早めに備えておくことが、将来の安心につながります。

本日はここまで。それでは、チャオチャオ!

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