地方では地域経済の中心的な担い手であることが多い建設業界ですが、少子高齢化や若者の地方離れが加速しており、人材確保に苦しんでいるのが現状です。
僕も家業が建設業なので、合同説明会に参加したり、CMを出してみたり、色々と工夫していますが、優秀な人材を呼び込むのは年々難しくなっていると感じます。
昔のように何もしなくても地元の工業高校の生徒が応募してくれるような時代は終わり、高卒や大卒ともに限られた人材を巡り、知名度と資本力が圧倒的な大企業と勝負していかないといけない時代になりました。
入社希望者を増やすには、企業の魅力を高めないといけません。その有効手段の一つとして、企業型確定拠出年金を導入すべきだと考えています。とくに地方建設業が導入すべき3つの理由をお伝えします。
①若者は金融教育を受けている
2022年から高校の授業に「資産形成・運用」に関する内容が必須化されました。お金の教育を受けた若者たちは、高卒で2025年4月、大卒で2029年4月に社会へ出ていくことになります。
資産形成の考え方が一般に広まっている中、福利厚生の充実を求める若者たちは、企業型確定拠出年金を導入していない会社に対してネガティブなイメージを持つのではないでしょうか。
以前は、社会保険に加入していない中小企業も多かったですが、今では加入しているのが当たり前という認識に変わっています。もし社会保険に未加入の会社だったら求職者に敬遠されますよね。企業型確定拠出年金についても、将来は似たような状況になると考えています。
中小企業の企業型確定拠出年金の導入率はまだ1%を下回っていますが、大企業では導入が進んでおり、足元では、企業型確定拠出年金の加入者数は830万人。広告などで見かけるiDeCoの加入者数337万人を大幅に上回っており、今後も認知度が上がってくるでしょう。
日本人に多い「お金は汚い」「楽して儲かるのは悪いこと、汗水垂らして働くのが良い」などといった価値観は、江戸時代に徳川家康が国民を洗脳するために植え付けたものです。参勤交代をさせて資金を貯めないようにしたり、金のある商人の身分を低くしたり、国民が金を持たなければ政権が安定すると考えられていたようです。これらの価値観は、今の若者にはあまり当てはまらないようです。
②建退共だけでは足りない
建設業退職金共済を利用している建設会社は多いでしょう。国が掛金を一部負担してくれますし、公共工事の入札に参加するための「経営事項審査」でも加点評価されます。
しかし、建設業退職金共済事業本部の試算(掛金日額320円が年率1.3%で運用される)によると、40年間働いた後にもらえる退職金はわずか426万円程度。2019年に老後は2000万円が必要だと金融庁が発表して、世間が一時大騒ぎしましたが、この金額まで約1600万円足りないです。
建設業は、社会インフラのために働き、夏は暑く、冬は寒く、専門知識が必要な中で、職種によっては関係者や近隣住民との折衝なども必要で、心身ともにハードな仕事です。
企業型確定拠出年金を活用して、会社のために長年勤めてくれた社員に十分な退職金を準備すべきでしょう。
③経営事項審査で加点
企業型確定拠出年金を導入すると「経営事項審査」で加点されます。
評価項目の「その他の社会性等(W点)」の「建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況(W1)」内に、「退職一時金制度もしくは企業年金制度導入の有無」があります。
企業型確定拠出年金を導入することで「退職一時金制度又は企業年金制度導入の有無」で、プラス評価されます。一般的には、退職金や企業年金などを導入すると、会社の拠出が増えますが「選択制」の企業型確定供出年金で導入すると、会社の拠出なく導入することが可能です。
「退職一時金制度」として中退共を利用している会社も多いでしょう。営業職や事務職は中退共、現場に出る社員は建退共という分け方をしているケースなどがあります。しかし、中退共の付加退職金の支給率は0.0001%。お金の価値は何十年もすると価値が下がるのに、長期間拘束された上でほとんど増えないのは辛いですね。
以上、地方の建設会社が企業型確定拠出年金を導入すべき3つの理由でした。
本日はここまで。それでは、チャオチャオ!